【24時間365日対応の在宅診療】 ご相談受付時間:平日9:00~17:30 電話をする ☎ 03 - 5751 - 7300

【2026年8月から】高額療養費制度の見直しにより、1か月の自己負担限度額が引き上げられます

こんにちは。あしたの在宅クリニックです。

2026年8月の診療分から、高額療養費制度の見直しが行われ、1か月あたりの自己負担限度額(上限額)が引き上げられます。あわせて、1年間の負担に上限を設ける「年間上限」が新しく設けられます。

在宅で療養されている患者さんやご家族にも関わる内容ですので、厚生労働省の公表資料をもとにお知らせいたします。

目次

高額療養費制度とは

高額療養費制度は、1か月(月の初日から末日まで)に医療機関や薬局の窓口でお支払いいただいた自己負担額が一定の上限を超えたとき、超えた分が公的医療保険から支給される仕組みです。上限額は、年齢と所得区分によって決まります。

訪問診療でお支払いいただく自己負担も、保険診療である以上この制度の対象です。訪問診療は入院ではありませんので、制度上は「外来(入院外)」として取り扱われます。

なお、入院中の食事代や差額ベッド代、診断書などの文書料、保険が適用されない自由診療の費用は、高額療養費の計算には含まれません。

2026年8月からの主な変更点

今回の見直しは、2026年8月(第1段階)2027年8月(第2段階)の2回に分けて実施されます。2026年8月からの変更は、大きく次の3点です。

  • 1か月の自己負担限度額が引き上げられます 世帯ごとの上限は、すべての所得区分で引き上げられます。ただし70歳以上の区分Ⅰ(低所得Ⅰ)の方の外来の上限は据え置かれます。
  • 「年間上限」が新しく設けられます 1年間の自己負担の合計にも上限ができます。
  • 70歳以上の方の「外来特例」の上限額が見直されます 訪問診療の自己負担は外来の扱いになるため、関わる方が多い部分です。

一方で、直近12か月に3回以上上限に達した場合に4回目から上限が下がる「多数回該当」の金額は、現行の水準が維持されます。長期にわたって療養される方への配慮として据え置かれたものです。

70歳以上の方の上限額

8月は「負担割合」の見直しも重なります

窓口でお支払いいただく負担割合と所得区分は、毎年8月1日に前年の所得をもとに見直されます(お勤め先の健康保険にご加入の方は、見直しの時期が異なります)。今回の制度改正と重なるため、7月までと8月からで区分が変わる方がいらっしゃいます。区分が変わると上限額も変わりますので、8月以降にお手元のマイナ保険証・資格確認書でご確認ください。

自己負担限度額の金額は、70〜74歳の方と75歳以上の方で共通です。ただし、所得区分の呼び方は加入している制度によって異なります。

75歳以上の方(後期高齢者医療制度)
「一般Ⅰ」「一般Ⅱ」「区分Ⅱ」「区分Ⅰ」
70〜74歳の方(国民健康保険・健康保険など)
「一般」「低所得Ⅱ」「低所得Ⅰ」

下の表では両方を併記しています。ご自身の区分は、マイナ保険証または資格確認書・高齢受給者証の記載でご確認いただけます。

また、窓口でお支払いいただく負担割合は年齢によって異なり、70〜74歳の方は2割(現役並み所得の方は3割)、75歳以上の方は1割(一定以上の所得がある方は2割、現役並み所得の方は3割)です。負担割合が違うため、同じ区分でも上限額に達するまでの医療費の額は変わります。

外来(お一人ごとの上限)

灰色が2026年7月までの金額、太字が2026年8月からの金額です。
所得区分 1か月の上限 1年間の上限
一般Ⅰ・一般Ⅱ70〜74歳の方は「一般」 18,000円22,000円 14.4万円21.6万円
区分Ⅱ70〜74歳の方は「低所得Ⅱ」/住民税非課税世帯 8,000円11,000円 9.6万円新設
区分Ⅰ70〜74歳の方は「低所得Ⅰ」/住民税非課税世帯で所得が一定以下 8,000円据え置き
現役並み所得Ⅰ〜Ⅲ 外来特例の対象外です(下の「外来と入院を合わせた上限」をご覧ください)
  • 区分Ⅱ(低所得Ⅱ)の方は、1か月の上限が引き上げられる一方で、新たに1年間の上限(9.6万円)が設けられます。厚生労働省の資料では、毎月上限額まで負担されている方の年間の負担額は、見直し前と変わらないという設計になっていると説明されています。
  • 区分Ⅰ(低所得Ⅰ)の方の1か月の上限は、8,000円のまま据え置かれます。

外来と入院を合わせた上限(世帯ごと)

灰色が2026年7月までの金額、太字が2026年8月からの金額です。
所得区分 1か月の上限 1年間の上限
現役並み所得Ⅲ 252,600円+1%270,300円+1% 168万円新設
現役並み所得Ⅱ 167,400円+1%179,100円+1% 111万円新設
現役並み所得Ⅰ 80,100円+1%85,800円+1% 53万円新設
一般Ⅰ・一般Ⅱ70〜74歳の方は「一般」 57,600円61,500円 53万円新設
区分Ⅱ70〜74歳の方は「低所得Ⅱ」 24,600円25,700円 29万円新設
区分Ⅰ70〜74歳の方は「低所得Ⅰ」 15,000円15,700円 18万円新設
  • 「+1%」は、総医療費(10割分)のうち一定額を超えた部分の1%を加算するという意味です。2026年8月からの一定額は、現役並み所得Ⅰが286,000円、Ⅱが597,000円、Ⅲが901,000円です。月1〜2回の定期訪問とお薬代程度であればこの額を超えないため、実際は表の金額が上限になります。
  • 現役並み所得Ⅰ〜Ⅲおよび一般の多数回該当の金額(140,100円・93,000円・44,400円)は据え置かれます。区分Ⅱ(低所得Ⅱ)については、4回目以降の上限額が24,600円と定められ、現在の水準が保たれます。

70歳未満の方の上限額

70歳以上の方に設けられている「外来だけの上限(外来特例)」は、70歳未満の方にはありません。外来と入院を合わせて、1か月の上限額で判定します。

灰色が2026年7月までの金額、太字が2026年8月からの金額です。年収は目安です。
所得区分 1か月の上限 多数回該当 1年間の上限
約1,160万円〜 252,600円+1%270,300円+1% 140,100円据え置き 168万円新設
約770万〜約1,160万円 167,400円+1%179,100円+1% 93,000円据え置き 111万円新設
約370万〜約770万円 80,100円+1%85,800円+1% 44,400円据え置き 53万円新設
〜約370万円住民税非課税以外の方 57,600円61,500円 44,400円据え置き 53万円新設
住民税非課税 35,400円36,900円 24,600円据え置き 29万円新設
  • 2026年8月からは、住民税非課税以外で年収約370万円までの方は、同じ上限額(61,500円)が適用されます。この区分が年収に応じて細かく分かれるのは、2027年8月からです。
  • 厚生労働省の資料では、年収約200万円未満(標準報酬月額15万円以下)に該当すると確認された方は、1年間の上限が41万円となり、2027年8月以降に払い戻されるとされています。
  • 同じ月に複数の医療機関や薬局でお支払いがある場合、70歳未満の方は、レセプト1件あたり21,000円以上の自己負担が合算の対象になります。

新しく設けられる「年間上限」について

2026年8月から、月ごとの上限とは別に、1年間の自己負担合計に対する上限が設けられます。

月ごとの上限には届かない月が続いても、1年間の合計が所得区分ごとの上限に達すれば、ご本人からのお申し出により、それを超えて支払った分が保険者から払い戻されます。月単位では上限に届かないものの、在宅療養や通院が長く続いて年間では負担が重くなる、といった場合に働く仕組みです。

集計の期間は8月1日から翌年7月31日までで、最初の期間は2026年8月1日から2027年7月31日までとなります。

厚生労働省の資料では、この年間上限は当初、患者ご本人からのお申し出を前提とした運用で開始するとされています。自動的に払い戻されるとは限りませんので、該当しそうな場合は、加入されている医療保険にご確認ください。

2027年8月からの第2段階について

2027年8月からは、所得区分がさらに細かく分けられ、区分ごとに上限額が設定される予定です。

このとき、住民税非課税のラインを少し上回る年収200万円未満の方の多数回該当の上限額は、44,400円から34,500円へ引き下げられる予定です。長く治療を続けながら働いている方への配慮として設けられたものです。

また、70歳以上の外来特例の対象年齢を引き上げるかどうかについては、高齢者の窓口負担のあり方とあわせて、今後検討されるとされています。

ご自身の上限額について

自己負担限度額を決める所得区分は、単純な年収ではなく、加入している医療保険ごとの指標(課税所得、標準報酬月額、旧ただし書き所得など)によって判定されます。

ご自身に適用される区分と2026年8月以降の金額については、加入されている医療保険のご案内をご確認ください。

  • 協会けんぽ・健康保険組合にご加入の方は、お勤め先または加入先の健康保険へお問い合わせください。
  • 在宅療養にかかる費用について気になることがあれば、訪問時に担当の医師・看護師へお気軽にお尋ねください。

    今後とも、あしたの在宅クリニックをよろしくお願いいたします。

    出典

    目次